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ZAKKI

飲食店の求人に明記すべきだと思うこと

こんにちは。あられです。

 

突然ですが、私は飲食店で店舗責任者として働いています。

15年以上飲食業界に身を置き、個人的に思うことがあります。

それは、求人を出す際「どのような扱いでの求人か」を、もっと明確にするべきだという事です。

例えば女性は、妊娠・出産・育児という人生のイベントがやってくる場合がありますが、その事を踏まえて働く職場をもっともっと選びやすくしなければいけないと感じます。

 

実際に現場に立った3タイプでの「妊娠」に関する、私が実際に見てきたことを記します。

タイプ:

① レストランが10店舗以上入ったホテル内の飲食店舗。「部所」として大きく社員も多い

② 街の中規模くらいの飲食店。学生さんや短期のアルバイトが多く、社員は少ない。

③ 街の小規模な飲食店。必要最低人数以下で運営している 

 

妊娠、出産

① では、レストランサービスの現場にいたスタッフが妊娠しました。妊娠初期の働けるうちは、デスクワーク主体の料飲事務に速やかに異動。残業はなく、状況により早上がりアリ、無事出産、お祝いムードでした。

 

②では、社員が少なくすぐに辞めていきます。「ベテラン社員」が数人しかいない。パット見て、人数はいるように見えるけれども、ほとんどが素人のアルバイトさんばかり…という中で会社が狂ったように店舗展開し、どの現場も「その日をなんとかまわす」事に精一杯で社員に負担が大きく、現場は疲弊。「サービスマンとしてやっていく」という志のある人間ほどすぐに退職していきます。そんな中、真面目すぎる人は「なんとかせねば」とふんばってしまい、少ない休みとサービス残業で疲れ果てて「とりあえず生きている、なんとか現場に足を運ぶ、先のことを考えられる体力が無い」状態に陥り、体力的・精神的に限界まで疲弊してから、崩れ落ちるようにやっと辞めていく。なのでそもそも、女性社員が体調を整えて妊娠できる環境ではありませんでしたし「シフトに穴を開けたらどんな白い目で見られるか」を考えるとゾッとする状況でした。現場で責任ある立場の人間が過度に疲弊してピリピリしているので、おめでたいことをうしろめたく感じてしまうであろう環境でした。

 

③では、「妊娠について?えー、困るよ。ある程度君にも合わせて店作りしたんだから、くれぐれも急に勝手に妊娠しないでよ」不機嫌に言い放つ会社のトップが出現しました。こういうのって、おそらく今となっては、言った本人は「言ってない」と言うのでしょう(これが多いのです。「言った」「言わない」が、こういう現場って本当に多いものです。残念なことに事実はどうにでも曲げられる)。その後数年経ち、新しく女性社員が入社して来て、彼女がそのうち妊娠したときには、サラッと産休をとっていたという。今更「君も別にいいよ」と言われても、いやいや、そういうもんじゃないし、もう何年も年とったし。そもそも、あなたはどういう事を言ったのかわかってますか?チャンチャン、という事例です。

 

私もいくつか嫌な思いをしたことがありますが、今の私の場合は、私自身の選択による結果の集合体で納得しています。全部、私が選択したことです。そのときに「辞めない」ということを選択しました。

 

例えばですが、

1,会社が現在店舗展開を積極的に行っている最中なので、◯年間は長期穴を開けずに働き続けられる予定の方

2,少ない人数でまわしてもらうので、◯年間は長期穴を開けずに長期勤務できる予定の方

3,現在、〇〇年以内に妊娠したら退職したいと考えている方

4,現在、働いていく上で後々妊娠や出産、育児休暇を経て復帰したいと考えている方

 

求人広告において、求められている人材がこの中のどのケースに該当するのかが判れば、自分の状態に合わない会社・お店は最初から選ばないようにすることができます。

働く側と雇う側の考えは、身体にその機能を持つ以上、共有したほうが良いと私は考えます(予定外の妊娠が無いとは言いません)。

いざそうなった時に、話が通りやすい方が良いと思うのです。それに、そのあたりの事を話しておけば、その後、子供を作る事を考えはじめた時に、相談しやすく、それによりあらかじめ身の振り方を決められます。

 

1や2については、ある程度のスキルを持つ経験者の復帰や、個人の意思やコンディションから妊娠や出産を考えない人の条件に合いやすいでしょうし

 

3は、人によっては酷に思われるかもしれませんが、明記してあるほうが人/環境によってはありがたいものです。現場がカツカツでも「このようなことなので、〇〇日程で退職させていただきたい」と言いやすい。だって、求人に「妊娠・出産を期に退職希望者可」というふうに募集していて、その枠で入ったのだから。そしてそのように明記するところは、忙しい繁忙期のみという短期の募集も考えられます。

 

4は必須です。応募を増やすために印象を良くして、今まで社員に取らせたこともないのに、小さな小さな枠の「産休、育休」にマルをつけていながら、「空気読めよ、この状況で」的な雰囲気を出すところはザラにあります。最初から、出す側から「復帰ありきの人も可」と書いて、面接時にもその事に触れるべきです。このちっちゃいマルについて、軽く見ている傾向にあります。

 

面接時に知らない男性からこんなことまで話しを触れられるなんて無理!という方もいらっしゃるかもしれません。私もたまに人から「子供をつくらないのか」と聞かれると面倒だなとは思います。私はその予定がないことをシンプルに伝えるだけですが、そこから昔問題になった議員のように「子供を作らないなんて◯◯」とかの話になったら蹴りたくなりますね、間違いなく脳内で妄想K.O.です。セクハラオヤジは絶滅危惧種になりつつありますけれど。

 

 

この例は「男女平等」からはかけ離れているかも知れませんが、私としてはそのくらいが良いと思っています。男性と女性は違います。

 

私もそうですが、子供を作らずに仕事をし続ける事を選んだ人も、望んでも願っても叶わなかった人も、早く子供を産みたい人も、時期をみて相手と話し合って数年後を目処とする人も、お金も時間も体力も大変な思いをして妊活している人も、その他、たくさんいらっしゃいます。それぞれだからこそ、必要だと思います。

 

そして、仕事にのめりこんで、妊娠その他についてあまり考えなくなっている状態の若い女性にも、考えるきっかけになると思います。こう思うのは、以前の私がそうだったからです。

 

男性の身体は、望んでも妊娠できません。なので、パートナーと「どちらが産む?」なんてお互いの仕事の状況を話し合い、相談して決めることはできません。だからこそ、きちんと考え、選ぶ必要があります。

 

男女どちらも、仕事と生活は切り離すべきでは無いと考えているからです。

仕事に集中する時期があるように、出産や育児生活に集中する時期があっても良いと思います。

仕事があるから生活できる。生活しながら仕事する。

そのためには、選びやすく明確でなければいけない。ここが明確でなければないほど、余計に手間も時間もかかります。

 

「どういう予定を立てている人か」をもっと明確にしても良いのではないかな、という個人的な考えでした。

 

お気を悪くされた方がいらっしゃったら、すみません。

 

あられ